【萩原朔太郎】杀人事件/殺人事件
杀人事件
遥远的空中响起了枪声。
再一次响起了枪声。
啊 我的侦探穿起水晶般的衣裳,
悄悄潜进恋人的窗,
地板由宝石铺就,
手指与手指的缝隙间,
深蓝色的血液从中流淌。
在那悲哀的女子的身上,
螽斯①鸣叫着凄凉。
霜月②初旬的某天早上,
侦探穿起水晶般的衣裳,
在街道的十字路中彷徨。
秋日里十字路口的喷泉,
令孤身一人的侦探犹感忧伤。
看啊,沿着遥远而岑寂的大理石步道,
犯人一溜烟地逃向前方。
①螽斯,蝈蝈的古称。
②霜月,十一月的别称。
殺人事件
とほい空でぴすとるが鳴る。
またぴすとるが鳴る。
ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、
こひびとの窓からしのびこむ、
床は晶玉、
ゆびとゆびとのあひだから、
まつさをの血がながれてゐる、
かなしい女の屍体のうへで、
つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。
しもつき上旬(はじめ)のある朝、
探偵は玻璃の衣裳をきて、
街の十字巷路(よつつじ)を曲つた。
十字巷路に秋のふんすゐ、
はやひとり探偵はうれひをかんず。
みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、
曲者(くせもの)はいつさんにすべつてゆく。